妊娠中に参加した代々木で開催された消費生活アドバイザーの実務講習は、改めて自分を見つめなおし、自分本来の希望を知るきっかけとなった。
オッチョコチョイな私は、この東京・代々木での実務講習受講が、資格申請のために不可欠と勘違いし、申し込んでしまった。
後になってわかったが、私の職歴であれば「実務経験あり」で申請 OK 、無理に受講する必要はなかったのである。
この頃は妊娠 5 ヶ月目の終わりに入っていた。
検診のたびに「体重注意」と言われていた私は、研修会場でもかなりお腹が目立ったが、このときの収穫は後々大きかった。
実務研修の講座のひとコマに、カウンセラーの波登かおり先生の講義があった。セルフコントロールに関する講義だったと思うが、そのなかで次のようなワークをやったのである。
「あなたが、なりたい自分になるうえで、障害になっていることは何ですか?」その、障害を思いつくだけ書く。
私はその時、「お金がない」 「時間がない」 「子供が生まれる、子供が小さい」 と、書いたと思う。
次に 「もし、その障害がなければ、何をやりたいですか?」
そのやりたいことを、思いつくだけ書く。
私の場合なら、 いくらでもお金があって、いくらでも時間があって、子供がいなければ・・・・何をやりたいか書き出すのである。
奇想天外なことでもいい。夢のような希望でもいい。自由に書いてみてといわれた。
これまで、そんな風に考えたことがなかったので、空想するだけでも楽しかった。
そこで、 「人の役に立つ情報発信ができる人になりたい」 、「もっと専門的な知識を得て仕事をしたい。 社会保険労務士とか」 、「本を書きたい」「人の前で話す仕事をしたい」と書いた。
そのあと、希望する自分の姿をもっと具体的に書いてといわれたので、 さらに次のように書いた。
「せきねFP社会保険労務士事務所を開いている」
「本を出版し、講演の依頼がぞくぞくきている」
書き終わった後、隣の人同士で見せ合うのには参った。
隣の席の人に 「事務所の名前まで決まっていて、具体的だね~もう資格持ってんの?」 なんていわれ、本当に恥ずかしくて閉口した。
そして先生はこう続けた。
「その夢にとって、先に書いた障害は、本当に障害でしょうか?案外、やり方によっては、実現可能な夢なのでは?」
その通りなのだ。お金や、時間なんて言い訳に過ぎない。
「絶対にできない」理由にはならない。なんだか、やれば出来そうな気がした。
社会保険労務士は短大卒で受験資格があるということで、勧められて会社の資格取得の奨励研修を受けたことがある。
そのときは、労働基準法や労働災害法などの講義がつまらないと感じ、 さらに合格率 6 %台と聞き、ビビッて受験しようともしなかった。
とにかく、独身で遊ぶほうが忙しく、受験勉強などには身が入らなかったという方が正しい。
その後、会社も変わり、年金業務担当だったことで、長岡市の社会保険労務士 高野洋子先生に会う機会があった。
そういえば高野先生は、子供さんが小さいときに、 1 年間東京に通って資格取得したと言っていた。
学校に行かないと、絶対に取れない資格なのか? まあ、これから子供を生む私にはどっちみち無理だけど・・・。
とにかく、そのとき、そう書いたことは強く私の頭に刻まれた。 しかも、書かされて初めて「こうありたい自分の姿」を認識したのである。