人事評価制度  

わが社は「人事考課」による人事評価をボーナスや昇給や昇格に結び付けています。しかし、管理職それぞれに「独断や偏見」があるため、社員から不満が出ることもしばしばあります。
なるべく公正な評価につながる「人事評価のポイント」があれば、教えてください。

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相談者

社員を評価する際に、どうしても評価者である管理職の「私見」や「主観」が入ってしまうのは、しょうがないことなんでしょうか?

関 根

現在、公正な処遇や適材適所などを目的として多くの企業が「人事考課」というものを取り入れていますよね。

これは、一定期間の「活動の結果の確認」と「行動のふりかえり」を行い、評価を通じてお互いの課題を明確にし、今後に向けて改善していくという「改善活動のプロセス」であるべきものです。

残念ながら中小企業では意義の理解や、その担当者の訓練が不十分のため本来の目的が果たされていないケースがみられます。

相談者 わが社もそうかもしれません・・。
関 根

人事考課を行うには一定のルールがあります。

これを知らずに独自の視点で部下を評価していてはエラーだらけで、説明においても根拠がお粗末となってしまいます。

そこで、最低限の「ルール」をご紹介しましょう。

1:人を見ず、行動を見る

人物ではなく、「行動となってあらわれた事実」を評価すべきものです。人から入ると好き嫌いが先にたち、相性で決まってしまいます。

例)だらしない印象の奴だから、規律性はマイナス評価だ。

2:職務に関する行動だけを見る

人事考課の範囲は限定されており、職務に関する行動と結果の事実分析に限ります。業務外やプライベートを評価してはいけません。
例)職場内でプライベートな飲み会を企画したから、協調性は○

3:うわさや憶測で評価をしない

無責任なうわさ話を真に受けたり、事実にない行動まで憶測して決めつけた評価をしてはいけません。また、潜在しているであろう能力ではなく、顕在化して発揮された能力だけを評価するものです。

例)離婚協議中という噂だから仕事に集中できないのだな。
例)○○大学院卒だから、△△に詳しいはずだ。

相談者

管理職のルールの再確認が必要かもしれません。
でも、やはりいろんな個性・考えを持った担当者が評価するので、視点を統一しようとしても難しいですよね ?

関 根

でもある程度、自分の傾向や癖を知ることは非常に重要なので、今度は考課者の陥りやすい代表的なエラーとその対処法を挙げてみます。

1:ハロー効果
ある部分の印象でその人全てを評価する傾向。何か一つが良い と何もかも良く見えてしまったり、逆に一つの欠点や失敗で全て悪く見えてしまう。

例)遅刻が多いから責任感もないし、協調性も足りないはずだ。

対処法

・先入観を持たず、事実に基づき評価する。
・一度に一人の全評価をせず、評価要素ごとに分けて行う。

2:寛大化傾向・厳格化傾向

「昇進させたい」など部下を思うあまり高い評価になったり、部下から良く思われたいとか、管理者として自信がない場合によくでるエラーが寛大化傾向。
それとは逆に、全体的に「辛く」評価するのが厳格化傾向。

対処法

・考課者訓練で他の考課者の評価と比較検討し、甘辛の傾向を知る。
・特に顕著な事実に基づいて、要素ごとに評価する。

3:中心化傾向

人事考課自体に抵抗感があり自信のない考課者や、部下を良く 見ていない考課者は、極端な考課をためらうため標準レベルに評価点が集中し、優越の差があまりでない。

対処法

・人事考課における評価は「人を裁く」のではなく「会社が期待する能力を発揮しているか?期待する成果を挙げたか?」といった業務行動の評価であると認識すべき。

・普段から部下とのコミュニケーションを心がけ、率直に意見交換できる環境づくりに努める。

相談者

どうも、考課者訓練の研修が必要なようです。

関 根

人事考課は単なる「金の分け方を決めるツール」ではありません。

今後につなげる「改善活動のプロセス」とするには、評価後のフィードバック、つまり「評価をふまえての面接指導」が一番重要となります。

評価者の面接力指導を含めたコーチング研修を行っていますので、ご用命ください。

相談者 わかりました。ぜひ、お願いしたいと思います。

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