2.公的年金の役目を知ろう  

年金の話になると、どうもお金の損得に終始してしまいがちです。

「うちのおじいちゃんは僕の給料より沢山の年金をもらっている」とか、

「オレがもらう頃には年金制度崩壊だろうから払いたくない」とか・・・。

そんな声が聞かれるワケとしては、たぶん年をとってからの 「老齢年金」 しか頭にないからだと思います。

でも公的年金って、それだけの役目ではないですよね?

車いす

では、ここで問題です。

•  19 歳の浪人生
•  20 歳の大学生
•  21 歳のフリーター

この(1)~(3)の3人がスノーボードでかっこいいジャンプを決め損ね、脊椎損傷で一生車椅子となってしまいました。しかも、この 3人、いずれも国民年金保険料を支払っていませんでした。

3人のうち 「障害年金」 (障害基礎年金 1 級 年間 990,100 円)を受給できる人は誰でしょう?

まず、(1)の 19 歳の浪人生はセーフです。なぜなら国民年金の加入は 20 歳以上 60 歳未満ですから、 19 歳の浪人生はまだ保険料の支払い義務がありません。そのため、 20 歳前障害として「障害年金」を障害の状態が続く限り一生でも受給できるのです。

次に、(2)の 20 歳の大学生ですが、すでに 20 歳になっているのですから、国民年金保険料を支払っていない言い訳はできませんね。 「未納」 だった場合、やはり「障害年金」を受けることはできません。

介護が必要な重い障害を背負い、今後の収入も見込めない状態で 「障害年金」も受給できないということは 介護する親御さんも本人も最悪な事態ですよね。

「年金はあてにならないから」と未納にすることは非常に怖いことではないでしょうか?

しかし、この大学生が未納ではなく「学生納付特例制度」の申請をしていて保険料の支払いを猶予されていたのなら話は別です。

制服

「学生納付特例制度」 とは、
親のスネをかじっている学生に
「 20 歳になったのだから国民年保険料も絶対払え!」
というのはあまりにも酷なので、「申請すれば、学生の間は支払いを待ってあげるよ」という制度です。

承認されればこの期間は、「未納」ではありませんから、もしも「障害」や「死亡」といった非常事態になったときには保険料を払っていた場合と同じように保障を受けることができます。

また、卒業後 10 年以内に追納(さかのぼって支払う)すれば、将来の「老齢年金」の年金額にも反映しますし、追納しなくても「カラ期間」として年金受給資格ための期間として計算に入れてくれます。

ちなみに 1 年以上の学校に通っていれば OK で、親の収入も関係ありませんから、役所に紙を出すだけの話です。それで一生を左右する可能性がありますから、同じ「払わない(払えない)」なら絶対に申請をしておくべきなのです。

ふつう 20 歳の若い学生は年金なんてチンプンカンプンですから、こんな制度の知識を求める方が無理です。つまり、「親が知っていたかどうか」の問題というわけです。

さて、(3)の 21 歳のフリーターの場合はどうでしょう?

20 歳以上で学生でもありません。やはり、未納だった場合は「障害年金」を受給することはできません。

しかし、こういう方のための制度もあるのです。

それは、 「若年者納付猶予制度」収入の少ない 30 歳未満の方は、申請すれば支払いを待ってもらえるというものです。「学生納付特例制度」と似ていて追納も可能で「障害」や「死亡」の保障もあります。「知っている」ということだけで「未納」は防げるといえるでしょう。

年金に関するセミナーを受け賜わっています!!             ご依頼はコチラから
<講義内容> 
         ・知らないと損する!年金と社会保障のしくみ
           ・退職前に知っておきたい年金とライフプラン
           ・少しでも年金を増やす法 ・自分年金の作り方 など

「でもさ、そんなに重い障害状態なんてそうそう無いでしょ?」

そこまで言うなら、問題をもう1問出しますね。

妊婦21歳のフリーターの彼は大きな事故で障害状態になることもなく、国民年金保険料を未納のまま24歳になりました。ところがある日、つきあっていた彼女の妊娠が発覚・・できちゃった結婚を決意します。パパになるわけですから、いつまでもフリーターのままフラフラしているわけにはいきません。

この4月から知人の会社に就職することにしました。

会社員ということは給与天引きで厚生年金保険料を納めることになりますから、もはや「未納」はありえません。

ところが就職して 1 年後の 4 月のある日、不幸にも彼は交通事故で帰らぬ人となってしまいました。

さて、子供をかかえる遺された奥さんは 「遺族年金」 (遺族基礎年金・遺族厚生年金 年間 1,400,000 円)を受給できるでしょうか?

亡くなった時は「第 2 号被保険者」となっているわけですし、生まれてくる赤ちゃんのためにも「遺族年金」を受給させてあげたいと思うのですが・・・

残念ながら奥さんは受給することができません。

「遺族年金」を受けるためにはいくつかの条件があります。

今回のケースではまず、 20 歳から亡くなった月の前々月までの期間のうち 3 分の 2 以上はちゃんと納めているか、免除されている期間でなくてはいけません。

亡くなった彼は、 20 歳から 24 歳までずっと未納ですからダメですね。

しかし、これでは厳しすぎるということで、もうひとつの救いの手があります。

先程の 3 分の 2 以上という条件はクリアしていなくても、

亡くなった月の前々月までの過去 1 年間に「未納」がなければ、「遺族年金」を差し上げましょうという救済措置。

しかし、彼はそれさえもクリアしていないのです。「払わない」という点では同じなのですから、「若年者納付猶予制度」の申請さえ出しておけば、遺された遺族はずい分救われたでしょうに・・・!!

ちなみに 30 歳以上の方も、所得に応じて段階的な保険料の免除制度が準備されています。支払いが困難な場合は、まず免除制度の利用を検討してください。

これは、あくまで仮定の話です。

しかし実際、「障害年金」に該当するほどの重い障害がありながら、「未納」であったために年金を受けられない「無年金障害者」が全国に 10 万人以上いるといわれています。

その原因として制度の不備や周知不足などの問題が取り沙汰されていますが、

「うっかり未納」や「知らない」ということが、どれほど危険か理解していただけたと思います。

これからも身近で役立つ情報提供をしていきます。
ここまで読んでいただきありがとうございました。

、自分の年金制度! へもどる

年金に関するセミナーを受け賜わっています!!             ご依頼はコチラから
<講義内容> 
         ・知らないと損する!年金と社会保障のしくみ
           ・退職前に知っておきたい年金とライフプラン
           ・少しでも年金を増やす法 ・自分年金の作り方 など

Blog Calendar

Blog Category