妊娠中の受験について  

(1) 妊娠中の過ごし方

私は、2人目の妊娠中に消費生活アドバイザー2次試験とCFP最後の1科目を受験し合格した。
また、妊娠6カ月の頃、代々木で開催された消費生活アドバイザーの実務講習にも参加した。

これは、私は2人目の妊娠期間中すこぶる体調がよく、お腹が少し気になること以外は全く普段と変わらなかったからである。

しかし、心のどこかでFPとしての活動の幅も徐々に広がりつつあるときだったので、
生まれたら何もできなくなる。早く、早く・・
という焦る気持ちがあったのかもしれない。

反省の意味を込めて、
女性ならではの妊娠期間と受験について振り返りながら考えてみたい。


妊娠中というのは、女性しか味わえない特殊で貴重な日々である。

意外と長いようで短い。

よく 十月十日(トツキトオカ)などと言われるが、妊娠自体が分かるのが 2 ヶ月目くらいなので、正味 8 ヶ月くらいの期間だ。

その間に、人によってはつわりや特有の眠さを経験し、肩こりや腰痛、便秘にもなりがちで、妊娠中毒やマタニティーブルーに苦しむ人もいる。

母体の健康を考えてか最近は体重管理も厳しい。
 
一方で、妊婦検診で胎児の大きさや鼓動に感動し、自分の嗜好の変化に驚き、
時に夫や周囲のいたわりにしあわせをかみしめる。

4 ・ 5 ヶ月の頃になると、胎動が感じられるようになり、元気な我が子の動きに愛しさが募っていく。そんな風に、日々の体の変化とともに、生まれてくる子供への母性も育ち、心身ともに出産への準備が整っていく。

そんなときに、そんな大切なときに、断じて余計なことをするべきではない。

特に、肉体的、精神的に負担のかかるようなことは絶対に避けるべきである。

私は、妊娠中の無理な勉強や遠出の受験は絶対に薦めない。 

だた、比較的に時間の流れの遅いこの期間に改めて自分を見つめ直したり、以前から興味のあることを調べてみるにはいい機会かもしれないと思っている。

実際、私は妊娠中にまさに「自分を見つめなおす機会」があった。
 
(2) どういう自分でありたい?

妊娠中に参加した代々木で開催された消費生活アドバイザーの実務講習は、改めて自分を見つめなおし、自分本来の希望を知るきっかけとなった。

オッチョコチョイな私は、この東京・代々木での実務講習受講が、資格申請のために不可欠と勘違いし、申し込んでしまった。
後になってわかったが、私の職歴であれば「実務経験あり」で申請 OK 、無理に受講する必要はなかったのである。

この頃は妊娠 5 ヶ月目の終わりに入っていた。
検診のたびに「体重注意」と言われていた私は、研修会場でもかなりお腹が目立ったが、このときの収穫は後々大きかった。
実務研修の講座のひとコマに、カウンセラーの波登かおり先生の講義があった。セルフコントロールに関する講義だったと思うが、そのなかで次のようなワークをやったのである。

あなたが、なりたい自分になるうえで、障害になっていることは何ですか?」その、障害を思いつくだけ書く。
私はその時、「お金がない」 「時間がない」 「子供が生まれる、子供が小さい」 と、書いたと思う。 

次に 「もし、その障害がなければ、何をやりたいですか?
そのやりたいことを、思いつくだけ書く。

私の場合なら、 いくらでもお金があって、いくらでも時間があって、子供がいなければ・・・・何をやりたいか書き出すのである。
奇想天外なことでもいい。夢のような希望でもいい。自由に書いてみてといわれた。
これまで、そんな風に考えたことがなかったので、空想するだけでも楽しかった。

そこで、 「人の役に立つ情報発信ができる人になりたい」 、「もっと専門的な知識を得て仕事をしたい。 社会保険労務士とか」 、「本を書きたい」「人の前で話す仕事をしたい」と書いた。
そのあと、希望する自分の姿をもっと具体的に書いてといわれたので、 さらに次のように書いた。

せきねFP社会保険労務士事務所を開いている
本を出版し、講演の依頼がぞくぞくきている
書き終わった後、隣の人同士で見せ合うのには参った。
隣の席の人に 「事務所の名前まで決まっていて、具体的だね~もう資格持ってんの?」 なんていわれ、本当に恥ずかしくて閉口した。 

そして先生はこう続けた。
「その夢にとって、先に書いた障害は、本当に障害でしょうか?案外、やり方によっては、実現可能な夢なのでは?」 

その通りなのだ。お金や、時間なんて言い訳に過ぎない。

「絶対にできない」理由にはならない。なんだか、やれば出来そうな気がした。
社会保険労務士は短大卒で受験資格があるということで、勧められて会社の資格取得の奨励研修を受けたことがある。
そのときは、労働基準法や労働災害法などの講義がつまらないと感じ、 さらに合格率 6 %台と聞き、ビビッて受験しようともしなかった。
とにかく、独身で遊ぶほうが忙しく、受験勉強などには身が入らなかったという方が正しい。
その後、会社も変わり、年金業務担当だったことで、長岡市の社会保険労務士 高野洋子先生に会う機会があった。
そういえば高野先生は、子供さんが小さいときに、 1 年間東京に通って資格取得したと言っていた。

学校に行かないと、絶対に取れない資格なのか? まあ、これから子供を生む私にはどっちみち無理だけど・・・。
とにかく、そのとき、そう書いたことは強く私の頭に刻まれた。 しかも、書かされて初めて「こうありたい自分の姿」を認識したのである。


(3) 友人からのお叱り

ひと口に妊娠といっても、1人目とそれ以降では全く別モノである。
私はそうだった。

初めてのときは、つわりも眠さも体の変化も陣痛もすべてが未知の体験である。

それこそ、陣痛なのか、喰いすぎての腹痛なのかさえ自分でもわからないほどだった。だが、2人目以降になると、
次はこうなって、次はこうなる・・・と予測が立てられる。

特に、1人目が超安産だった私は、2人目はかなり精神的に余裕をもって妊娠期間を過ごしたように思う。
また、学年で4つ離れている上の子は幼稚園に入り、時間的な余裕もできていた。
2人目の妊娠期間中の受験や講習受講を決めたのも、ある程度自分の体調に自信があったからだ。 


しかし、CFPの最後の 1 科目「不動産運用設計」の受験は、ちょっと無謀だったかもしれない。
 
もし、「不動産運用設計」を1発合格していれば、
ふたり目の妊娠が分かった頃CFPになれたはずだった。 

実際、この不合格は痛かった。
半年後、「不動産運用設計」に再チャレンジしたときは、2人目の子の妊娠8ヶ月の頃だったからである。

妊娠8ヶ月といえば、安定はしているが出産の可能性もある時期である。
事実、私は一人目を妊娠9ヶ月になったばかりの時産んでいる。

勉強には差し支えなかったが、
問題は生まれるかもしれないような大きいお腹での上京だった。

あの時も、いつもと変わらず 1 週間前から勉強し、試験に挑んだ。
ただ、 2 回目の受験ということで、
通常より多くの時間費やしたことで自信があるような気持ちと、
2度も失敗はできないぞ」というような緊張感が入り混じっていた。

体調はすこぶる良く、試験開始も午後からだったため、
交通手段はあの格安の高速バスにした。

さすがにそんな大きなお腹で高速バスに乗る人は少ないのか、
乗務員はいつもに増して親切だった。

いつものCFPの試験会場の早稲田大学で、いつものように受験を済ませ、
「受かったんじゃないかなー」なんて思いながら、高田馬場の駅に向かっていた。

初夏だったが東京は蒸し暑く、歩き慣れない人ごみの中でお腹をかばいながら歩いているときだった。

ある友人から、携帯に電話が入った。

高校時代バレーボール部でともに汗を流した仲間の一人で、
昔からまじめで頑張り屋のヨシ子からだった。
結婚して横浜に住む彼女は、子育てと両立させ、
かねてからの希望だった福祉関係の会社勤務を続けている。

そのときも、何気なく私の体調を気遣って連絡をくれたのだ。

「実は、FP関係の資格受験のために上京してるんだ」 そう伝えると、
それまで世間話をしていたヨシ子とは明らかに様子が変わった。

「芳美さぁ、今がどういうときか分かってる?」
ヨシ子は、呆れているというか、どちらかというと怒っている様子で続けた。

「子供が欲しくて欲しくて、それでも出来ない人もいるし、
待望の子供が障がいを抱えて生まれてくる場合もある。
芳美が焦る気持ちも分からないわけじゃないけど、その試験って今しかないの?
今は、何を一番大事にしなくちゃならない時なんだろうね?
そんな無理をして、子供や芳美に何かあったらどうするの???・・・」

その電話を切った後も、しばらくボーっとしていた。

ヨシ子の言うとおりなのだ。

確かに、CFPの試験は毎年もあるし、
大きいお腹を抱えて今回受験しなければならない理由はない。
今考えても、CFPになるのが1年後あるいは2年後でも、全く差し支えなかった。

「やりたい!どうしても今やりたい」
という気持ちの勢いに任せ、何事もなかったから良かったが、
やはりやりすぎだったと思う。

どうかこのような妊娠時の受験は極めて特殊な例ととらえ、
皆さんは真似をしないようくれぐれもよろしくお願いします。

 

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