ワーク・ライフ・バランス  

「これからはワーク・ライフ・バランスが大切だ」などとよく耳にしますが、よく意味がわかりません。
また、中小企業として取り組めることはありますか?

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相談者

「ワーク・ライフ・バランス」とは、どんな意味なんですか?

関 根

「ワーク」は仕事、「ライフ」は私生活。つまり仕事と生活の調和ということです。

最近、注目されている背景には、生活を楽しめる働き方でないと優秀な人材は集まらない、家庭生活を大事に出来る生き方でなければ少子化も解決しないという考え方があります。
相談者 最近の企業では、珍しくない考え方なんですか?
関 根

少子化問題を背景にわが国としても前向きに取り組む動きがあり、企業にとって優秀な人材・安定的な雇用の確保など、プラスの効果を発揮することは疑う余地がなく、大企業も導入に着手しはじめています。

中小企業ではほとんど進んでいないのが現状ですが、実は、トップダウンで改革のすすむ中小企業のほうが取り組みやすいといわれているのです。

相談者

そんな状況の中で、例えば中小企業としてはどのように取り組んでいくべきですか?

関 根

まずは「桃太郎タイプ」の経営者の意識改革ですね。
中小企業の経営者(特に 1 代目)は、昼夜をいとわずモーレツに仕事をこなし、強烈な上昇志向を持って現在の地位を築いてきた「桃太郎タイプ」が多いと感じています。 

そのような意識の人は、社員にも高い上昇志向や出世意欲を求めてしまう傾向があります。そのため、ワーク・ライフ・バランスなどという社員を非常に物足りなく感じてしまうかもしれません。

「きびダンゴをやるのに、なんで鬼が島に突進してくれないんだ?」という感じですね。

しかし、そのような社員は「やる気のない出来ない社員」ではなく、単に考え方が違うだけで、壁を次々に突き破る逞しさはなくても、仕事を確実にこなし会社の円滑な業務遂行に役立っているはずなのです。

鬼に向かって突進はしないけれど、確実に鬼が島まで送り届ける役割も認めるべきではないかということです。
相談者 私ももしかしたら「桃太郎タイプ」かもしれません。
関 根

もうひとつ、確認したいのが「労働時間と成果は比例しない」ことです。

質の高い仕事は労働時間の長さではないことが明らかな今でも「時間=貢献」という認識や評価が根強いのが現実です。

これからの経営者は「時間」ではなく、能率的なアイディアや新しい仕組みづくりを高く評価していく姿勢をみせていくべきだと思います。
相談者 まだまだ現実的には、「遅くまで頑張っている者がエライ」ような雰囲気がありますね。
関 根

中小企業の「ワーク・ライフ・バランス」への取り組みの第一歩として子育て社員を会社として応援するというのはどうですか?

中小企業では「育児休業を取らせると余計なコストがかかる」と取得が進まず、退職となる傾向がありますが、例えば入社10年目の女性が育児をきっかけに退職すると、採用費・育成費にかかった約 1000 万円を損するという試算も出ています。

今は、休業中の社会保険料も国が免除しているし、助成金もあります。そうなると、育児休業を取って職場復帰してもらったほうが人材戦略としてもプラスなのです。

例えば、子育て中の社員向けに一定期間は別の給与体系を選択できるようにするなどすれば、人件費削減と子育て応援企業メッセージが同時に実現できるかもしれません。中小・ベンチャー企業がワーク・ライフ・バランスに積極的に取り組むことは、企業のブランド構築にも繋がっていくと考えられているので、「福利厚生」ではなく「経営戦略」ととらえてはみてはいかがでしょうか。

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