社員の運転モラル  

最近、社員の交通事故や駐車違反などが立て続けに起こってしまいました。マイカー通勤者も多いため、もっと重大な事故が起こりそうで心配です。
社員の「車の運転モラル」を変えていくには、どうしたら良いのか教えてください。

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相談者

道路交通法が改正され、かなり罰則が強化されましたよね。
重大な事故を社員が起した場合、会社にも責任が及ぶ場合はあるのでしょうか?

    
関 根

たとえば、社員が免許停止期間中や無免許運転で重大な事故を起こした場合。

そのような社員に「社用車を運転させていた」「マイカー通勤を許可していた」とあっては会社の管理責任が問われるのは間違いなく、業務によっては信頼を失い経営に影響がでることもあるでしょう。

何より、事故処理のための保険が適用されません。それがもし、死亡事故の損害賠償となるとそれだけで会社存続の危機ですよね。

他には、たとえばマイカー通勤中の社員がマイカーで事故を起こし、その車が任意保険に入っていなかったような場合。

単にそのマイカーを通勤にだけしか使っていないときには、会社がそこまで責任を負うことはありませんが、業務に使用することを承認・・・少なくとも黙認していた場合、会社はほとんどの場合、損害賠償責任を免れることはできないでしょうね。

相談者

なんだか、怖くなってきました。
会社としては、どういう対策をとっていけば良いですか?

関 根

まず、就業規則やマイカー通勤規定など見直し、違反や事故に対して会社はどのように対処するか細かく決めておきましょう。

当然ですが、業務や通勤で自動車を使用する社員の運転免許証は定期的に見せてもらう必要があります。

運転免許証さえ一度も確認したことがないというような企業は管理責任を果たしていないと思われてもしかたがありません。必ずチェックしください。

また、マイカー通勤は 1 年ごとの申請による許可制とし、申請には任意保険の保険証券の提出も義務付け、対人対物無制限であることを必ず確認しましょう。

相談者

違反などの記録をチェックする方法はないんですか?

関 根

自動車安全運転センターで「運転記録証明書」を発行してもらう方法があります。

これは過去 5 年( 1 年や 3 年もあり)の駐車違反・スピード違反・交通事故・免許停止・飲酒運転などの違反記録が明記されています。

これをチェックするという行為は「うちの会社は交通ルール違反を絶対には許さないぞ」という姿勢を打ち出すことになります。

相談者

最近は特に「飲酒運転」が社会問題になっていますが、会社主催の宴会にはお酒がつきものです。会社として飲酒運転を防いでいく方法はあるでしょうか?

関 根

「たまにはちょっと一杯」というのもコミュニケーションの一環であり、大切なものです。また、そんな楽しい席のあとに、間違っても社員が飲酒運転することのないよう普段から指導しなければなりません。

それにはまず、第一にお酒に寛容な組織風土を変えることです。

朝、酒臭い社員がいたり、遅刻の言い訳が「昨日飲み過ぎちゃって・・」と笑っていえるような会社は要注意です。

就業規則を厳しくするという抑止力も必要なことですが、お酒に甘い風土のままで、処分だけ厳しくしても飲酒の事実を隠したり、仲間でかばいあったりして本当の解決にはなりません。

普段からの管理、啓蒙、教育が大切です。

現在、日本損害保険協会やNPOなどさまざまな団体から、アルコールに関する知識の提供や飲酒による交通事故の発生状況などの情報提供の冊子が出ています。

中には、涙なしには読めないような悲惨な被害者・加害者の心情なども紹介されています。無償のケースが多いので、社員が集まる機会に配布したり、研修に利用してもいいでしょう。無理なら回覧するだけでも価値があると思います。
相談者 わかりました。普段からの教育ですね。
関 根

会社主催の宴会も、幹事が最初に「運転するひとには絶対に飲ませない」ように徹底させましょう。また、乾杯のときからソフトドリンクを準備するとか、飲めない人でも楽しめるゲームなどを企画するといった配慮も必要です。

でも、せっかく費用を負担して開催するわけですから、「車なので・・」と言う人ばかりで場がシラケたり盛り上がらないことは残念ですよね。

そこで、こんな提案はどうですか?

年に一度の忘年会の日などは、朝礼の時間「家族職場参観」を行い、家族から送り迎えしてもらいお菓子などのお土産付きにするとか?

普段はあまり会うことのない社員のご家族に感謝の言葉をかけるチャンスかもしれません。

それが無理な社員には、その日だけは会社が乗り合わせタクシー代を負担するなどの方法はどうでしょう。アイディア次第で楽しむ方法はまだまだありそうですよね。

相談者 そうですね。わが社の社員の運転モラル向上を総務の新しい試みとして取り組んでみます。

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