ホウレンソウの徹底  

この前、お客様からあるクレームが入り、担当の部下に事情を聞いたところ、きちんと報告せず、1人で抱え込んでいたことが分かりました。
そこで、いわゆる「 ホウ・レン・ソウ(報告、連絡、相談)」を徹底させる方法があれば、教えてください。
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相談者

「 ホウ・レン・ソウ」をもっと細かく徹底させようすると、余計な時間がかかりそうだし、何もしないとますます報告は上がってこないし・・・「さじ加減」が難しい問題ですよね?

関 根

そうなんですよね。「ホウ・レン・ソウの徹底」を社内のスローガンにしている会社は多く、にもかかわらず御社のように「報告が不十分でクレームが来た」などという悩みは後を絶ちません。

そこで、トラブルの後は、会議や報告の頻度を増やしたり、報告書を細かくして「もっと厳しく管理しなければ・・」となりがちです。

でも、そのようにガチガチに管理体制を強化したところで、お互いの仕事の量が増えるだけで「コミュニケーション不足」に陥っているという根本的な問題は解決していません。
相談者

やはり根本は「風通しが良いコミュニケーションの土壌」を作っていくことが大事なんですよね?

関 根

その通りです。

相談や連絡がスムーズに回らないのは、そもそも職場全体にそうしづらい雰囲気が漂っているのかもしれませんよ。

今回はまず、「聴く」側の姿勢をチェックしてみましょう。

特に上司の方は、一度自分の「聴く体制」が整っているかどうか、振り返ってみることが必要です。

そこで、これから代表的な「聴き方NG例」を挙げますのでチェックしてみて下さい。

★まずは・・・「話しづらい態度」 
ため息、イライラ、忙しそう、眉間にしわをよせながら

★次に・・・「集中していない様子」

うわの空、目線があわない、別の作業をやりながら

★さらに・・・「偉そうな態度」

腕組み、下から見上げる、上から見下ろす

★または・・・「話をさえぎる」

評価・批判で口をはさむ、「それは無理」「わかっている・知っている」

★ついには・・・「結論を急ぐ」 

決めつけ、急がせる、「○○ってことだろ」「結局どうなの?」

相談者

う~ん、全く身に覚えがないとは言えませんね・・。

関 根

もしかして、「ホウ・レン・ソウ」しづらいオーラが出ているのかもしれませんよ。

では、上司として今後どのように改善していけば良いのか?

ポイントを 3 つほど押さえましょう!!

★1つ目・・・まずは、積極的に聴きましょう

部下からを受けるとき、「この時間は相手の時間」と決めて、心を落ち着けて聴きましょう。

時間が取れないときは、そわそわしながら聞くより、「 10 分しかないがいいか?」と始めにお互い了解するか、後で改めて時間をとる方がいいでしょう。

話す時に上司から不快感・威圧感を感じている部下は、その上司と話すこと自体が苦痛になりますから、当然「ホウ・レン・ソウ」などしたくありません。

自分が話す場合でも、こちらをキチンとみて「うんうん、それで?」
「なるほど」などあいづちをうったり、うなづきながら聞いてもらうと話やすいですよね?まずは、良い聞き手になりましょう。
相談者

確かに、積極的に「聞こう」とはしていませんでした。部下にとって、私は話したい上司ではないでしょうね、残念ながら・・。

関 根

★ 2 つ目・・・「答え」を押し付けない

部下からトラブルなどの相談を受けたとき「この問題に対しては、自分が答えを出してやらなきゃダメなんだ」という気持ちになることはありませんか?
実務的にも実績のある管理職ほどその傾向が強いようです。

確かにすぐ対処しなければならない場面では、強力なトップダウンが必要です。しかしそうでない場合、すぐに上司の意見を出してしまうと、部下は自分の頭で考えることを止めてしまいます。

そこで大事なのは、自分の意見や感想でその話を遮らず、最後まで聞くことです。

人は、話すことで、頭の中を整理したり、考えをまとめることができるという特性を持っています。話したら頭がすっきりしたり、話しながらいいアイディアが浮かんだ経験はありませんか?

ただ、聞くだけで相手が落ち着いたり、解決に近づいたり、結果的に相手の成長を促すことにつながるのです。

相談者

解決してやるのが上司の役目と感じていました。
あえて、答えを出さないのも部下を育てるということですね。
ウチの部下は、最初戸惑うと思いますが、やってみようと思います。

関 根

★ 3 つ目・・・未来へとつながる問いかけ

聞き終わったら、「どうしたらいいと思う?」と聞きましょう。

今までトラブルが起きても上司に報告して、対処法を丸投げしていた指示待ち部下は戸惑うかもしれませんね。

実際、いつも上司の指示が「最善策」とも限りません。より現場に近い部下のほうが、多くのニーズや情報と接しているはずですから、時代にあった新しいやり方を引き出すチャンスかもしれません。

例えば、「なぜ目標が達成できないんだ?」と聞くのではなく、「何があれば達成出来るか?」「どんな手段が考えられるか?」と未来を肯定的に質問してみましょう。すると、「出来ない言い訳」ばかり準備していた部下が、今度は自分の頭をフル回転させて「出来るための対策」を口にすることになります。

口にした答えは本人にとって「気づき」となり、「実行の宣言」となります。未来に焦点を当てた効果的な質問を繰り出し、なるべく多くの成功へのシナリオを引き出したいものですね。

相談者

明日、部下に会うのが楽しみになってきました。

本当に今日はありがとうございました。

関 根

くれぐれも即効性を期待しないでください。

長く続いた風土は急には変わりません。

でも、一歩一歩意識的に「風通しが良い職場作り」を目指せば、会社もそこにいる人材も成長していくと信じています。

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