社会保険労務士法人せきね事務所・せきねFP事務所
うつ病対策
うつ病対策








最近、当社で「うつ病」で長期に休む者が出ました。
まじめで頼りになる社員だったので、大変ショックを受けています。
社員のメンタル面での健康が不安なのですが、会社としての予防策やそうなったときの対処法などあれば教えてください。












相談者

人数的に余裕のない当社のような中小企業では本当に困ります。
でも最近、他の会社の人にも「ウチにもうつ病の社員がいるよ」と言われ、当社だけじゃないんだと思いました。



関 根

確かに「心の病」に関しての最近の現状はすごく深刻なんです。
データによりますと「心の病による 1 ヵ月以上の休職者」がいる大企業は 7 割を超えており、また、「最も多い年齢層」は働き盛りの「 30 代である」と約 6 割の企業が回答しています。
さらに近年、うつ社員の労災認定を求める裁判や、過労自殺した社員の遺族による損害賠償訴訟が次々に起きています。
判例から見ますと、会社側に非常に厳しい判決がでています。
過労でウツとなった社員が万が一自殺でもすると、裁判費用、損害賠償金、企業のイメージ低下などで中小企業ですと倒産に追い込まれる可能性すらありますね。



相談者
え〜!倒産ですか・・・?!。


関 根
まぁ、そこまで最悪な事態にならなくても、社員が1年間休職した場合、代替人件費や傷病手当、医療費負担などで休んだ社員の年収の 5 倍のコストかかかるという試算もあります。少数精鋭、ぎりぎりの人数でやっている中小企業にとってはまさに死活問題ですよね。


相談者

単に「戦力が欠けてしまう」だけでは済まされない、大変な犠牲を
払う可能性があるということですね。では、まず何から手をつけたらいいですか?



関 根

まずは、会社側が「うつ」に対する正しい認識を持つことが必要です。
現在、うつ病を患っている人は 15 人に 1 人です。 7 人に 1 人は生涯で一度はかかると言われている身近な病気なのですが、誤解が多いのが現状なのです。
「心が弱く根性がないからそんな病気になる。要は気持ちの持ちようだ」というのは間違いです。

うつ病は「脳内物質の変調」によるホルモンの代謝不全であり、「弱い心」が原因ではありません。十分な休養と適切な治療(薬の服用やカウンセリングということ)そういったことを受けることで、短期間での社会復帰も充分可能なのです。
周囲の人たちの認識不足や間違った対応によって回復を遅らせたり、重症化や再発につながることもあるので気をつけなければなりません。



相談者
具体的に、上司や経営者が気をつけるべきポイントは何ですか?


関 根

一口に「うつ」といっても色んなタイプがあります。
今回は日本人の「うつ」の 7 割を占める、「メランコリー型」うつ社員への対処法を紹介します。
「メランコリー型」のうつの人は、もともと自分の都合は後回しで周囲に気を遣う性格です。まじめな完ぺき主義者でたのまれたらイヤといえないタイプなので、会社にとっても重要な人材というケースが多いと思います。
こういう人は頑張り屋さんなので無理をしてしまいがちで、短時間で症状が悪化するのが特徴なのですが、適切な休養と治療を実施すれば、多くのケースで短期間での職場復帰が可能です。
対応のポイントとしては・・・
(1)なるべく早めに休職させて、治療に専念させる
(2)服薬やカウンセリングなど適切な治療を促す
(3)「あなたが必要」と言って安心させる
上司が心得るべきポイントとしては・・・
もうすでに頑張っているので「がんばれ」とか「根性見せろ」とかの叱咤激励は禁物です。飲みに誘って「悩みをきかせろ」みたいなのも病状には逆効果ですのでやめましょう。



相談者
なんだか、逆効果なことばかりしていたかもしれません・・。


関 根

今後は、全社的に「心の病」に関する正しい認識を周知させるために頑張っていきましょう。まずは、それが予防の第一歩ですね。
次回は、労務管理の面から「うつ病」対策を考えてみましょう。








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